【2】カビの健康被害と危険性

2025.06.13

カビが体に与える深刻な影響:健康被害の真実

こんな症状に心当たりはありませんか?

  • なんとなく体調が悪い、いつも疲れている
  • 家にいると咳や鼻水が出る
  • 市販薬でも治らないアレルギー症状が続く
  • 子どもの体調不良が気になる

その原因、実は住環境のカビかもしれません。 カビは見た目の不快さだけでなく、深刻な健康被害をもたらす可能性があります。


カビの正体:目に見えない”敵”とは?

カビは「真菌」という生物

カビは植物でも動物でもなく、「真菌(しんきん)」というグループに属します。キノコや酵母も同じ仲間で、自然界では落ち葉や食べ物を分解する”掃除屋”のような役割を果たします。

ところが、住宅や建物に入り込むと問題です。ジメジメしたところに潜み、**目に見えない胞子(ほうし)**という粉のような種を空気中にまき散らし、気づかないうちにあちこちで繁殖を始めます。

カビの胞子はとても小さい

  • 直径はわずか2~10マイクロメートル(μm)
  • これは髪の毛の1/10以下の大きさ
  • 普通に呼吸しているだけで体の中に入り込んでしまう
  • 家の中に一度カビが発生すると、胞子が部屋中に飛び、布団や衣類、カーテンなどに広がってしまうことも

主なカビの種類と特徴

  • 黒カビ:お風呂や窓枠によく発生、最も健康被害が深刻
  • 青カビ:パンやみかんに発生、強い異臭を放つ
  • 白カビ:押し入れの布団や段ボールに発生
  • 緑カビ:木材や畳に発生、建材を劣化させる

それぞれが違う環境で育ち、違う臭い・見た目・影響を持っています。


カビが出す有害物質の正体

カビ毒(マイコトキシン)の脅威

「カビって見た目が気持ち悪いだけじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実はカビが出す成分が健康や生活に大きな悪影響を及ぼすことがあります。

一部のカビは”毒”を出す 一部のカビは「カビ毒(マイコトキシン)」と呼ばれる有害物質を作り出します。目には見えず、においもしませんが、長期間吸い続けることで以下のような影響が出る可能性があります:

  • 免疫力低下
  • 子どもや高齢者が体調を崩しやすくなる
  • 肺や肝臓に悪影響を及ぼす場合もある

たとえば「アフラトキシン」は、WHOも強い発がん性を警告しています。家庭内でそこまで悪化することは稀ですが、放置すると健康リスクにつながる可能性があります。

MVOC:カビ特有の「嫌なニオイ」の正体

あの「ムワッとした臭い」は、カビが発する**MVOC(微生物が出す揮発性有機化合物)**と呼ばれるガスです。カビが繁殖時に目には見えないガスを出し、それが空気中に広がって鼻につくのです。

主なMVOC成分と特徴

化合物名 においの特徴 主な発生源(カビ種)
1-オクタノール フルーティーでやや甘いが不快なにおい 黒カビ(クラドスポリウム属)
3-メチル-1-ブタノール 発酵臭、青カビのような強い異臭 青カビ(ペニシリウム属)
2-メチル-1-プロパノール 酸味を含んだ揮発性の強いにおい トリコデルマ属など
ヘキサナール 古紙やカビた布のようなにおい 湿った建材、家具
その他アルデヒド類 鼻にツンとくる刺激臭、頭痛の原因にもなる 多様なカビが生成

これらは一度家具や壁紙に吸着されるとしつこく残留し、換気だけでは除去できない厄介な性質があります。

「臭いがある=まだカビが生きている」サイン 臭いがあるということは、カビが活動を続けている、または死んだカビの成分が残っている証拠です。表面を拭いても臭いが残る場合、壁の中や床下など見えない場所にカビが潜んでいる可能性が高いと言えます。


カビによる深刻な健康被害

カビは見た目の不快さや臭いだけでなく、人体にも深刻な健康被害を与えます。特にカビの胞子やMVOCは空気中を漂い、呼吸器・皮膚・免疫系に悪影響を及ぼします。

アレルギー・呼吸器への影響

カビによる健康被害でもっとも多いのがアレルギー反応や呼吸器系トラブルです。浮遊するカビ胞子を吸い込むことで、以下のような症状が現れます。

主な症状

  • くしゃみや鼻水、鼻づまり → 花粉症と似た症状で、カビアレルギーの典型例
  • 目のかゆみ、充血、涙目 → アレルゲンとしてカビが目の粘膜を刺激
  • 喉の痛みや違和感 → 粘膜を刺激し、イガイガ感が続く
  • せきや息苦しさ、ゼーゼー音(喘鳴) → 特に喘息持ちの方は発作が悪化しやすい
  • 過敏性肺炎のリスク → 長期的にカビにさらされると、肺に炎症を起こし、咳や発熱を繰り返す「過敏性肺炎」に繋がることも

POINT:小さな子どもや高齢者、喘息持ちの方は特に注意が必要です。

皮膚症状・全身への影響

カビ胞子や毒素が皮膚に触れると、湿疹や皮膚炎、さらには全身症状が起こることがあります。

皮膚・全身症状

  • 接触性皮膚炎(ぶつぶつ、かゆみ) → カビ胞子に直接触れることで肌が炎症を起こす
  • 湿疹や赤み → 衣類や寝具にカビが生えると、睡眠中に皮膚トラブルを起こしやすい
  • 倦怠感(だるさ)や頭痛 → MVOCによる化学的影響で体調不良を感じる
  • 集中力の低下・イライラ → カビ臭によるストレスや微小な化学物質が脳に影響し、精神的パフォーマンスが落ちる

POINT:「なんとなく体調が悪い」「いつも疲れている」と感じる方は、住まいのカビが原因かもしれません。

高リスク者:特に注意が必要な方

すべての人にカビは有害ですが、特に以下のような方は健康被害が深刻化しやすく、早めの対策が重要です。

乳幼児

  • 免疫機能が未発達で、カビアレルギーや皮膚炎を起こしやすい

高齢者

  • 免疫力が低下しており、肺炎や喘息の悪化リスクが高い

慢性疾患を抱える方

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)や心臓病のある方は呼吸器への影響が命に関わることも

アトピー体質の方

  • アレルギー反応が強く出る傾向があり、肌荒れが慢性化することも

免疫抑制状態の方(抗がん剤治療中、臓器移植後など)

  • 通常では問題ない量のカビでも、重症感染につながることがある

カビ臭のセルフチェック:早期発見が重要

「部屋に入った瞬間、ムワッとしたイヤなニオイがする」「クローゼットを開けたときにカビのようなにおいが漂う」…そうした経験は少なくありません。

カビ臭の危険サインを見逃すな!

カビ臭を放置すると、やがてカビそのものが繁殖し、健康被害や建物の劣化につながります。まずは以下のチェックで、室内にカビ臭の兆候がないか確認しましょう。

チェック項目

  1. 換気しても数時間で臭いが戻る 室内をしっかり換気しても、数時間後に再び「ムッ」としたにおいが戻る場合、壁紙の裏や床下、天井裏など見えない場所でカビが繁殖している可能性があります。
  2. 濡れた洗濯物や布団を室内干しすると強く感じる 室内干しで湿度が高まると、空気中にMVOCが活性化して放出され、においが強まります。特に冬場や梅雨時期は要注意です。
  3. 壁や天井のクロスにシミ・変色がある クロスの裏側でカビが発生していると、目に見える変色や膨れとして現れることがあります。これらの部位はにおいの発生源となりやすく、MVOCがにじみ出ていることもあります。
  4. 収納の中や家具の裏側でカビ臭が強い 押し入れ、クローゼット、ソファの下など、風通しの悪い場所はMVOCがこもりやすく、においが染みついている可能性があります。こうした場所からカビが広がるケースも多いです。
  5. 天井や床に結露が起きている 結露は湿度が高い証拠です。結露が続く環境=カビが最も好む環境です。特に窓枠や北側の部屋で多く発生します。

MVOCによる化学物質過敏症のリスク

感覚的な問題だけでなく健康被害にも直結 MVOCは化学物質過敏症の引き金にもなり得ます。次のような症状を訴える人もいます:

  • 頭痛・めまい・吐き気
  • 倦怠感・集中力低下
  • アレルギー性鼻炎や気管支炎の悪化

こうした症状は、目に見えないが確実にカビが住環境に影響を及ぼしているサインです。

芳香剤・空気清浄機では解決しない 市販の芳香剤や一時的な換気では、カビ臭の”根本原因”であるMVOCを除去できません。むしろ香りが混ざり、不快感が増すケースもあります。


カビ発生の4大要因を理解する

カビが発生する条件を理解することで、予防と対策の重要性がわかります。

カビが繁殖する4つの条件

  1. 温度(20~30℃) 多くのカビは、人間が快適と感じる室温帯(20~30℃)で最も活発に増殖します。特に25℃前後の日が続くと胞子の発芽率が飛躍的に上昇し、除去のタイミングを逃しやすくなります。冬季には、暖房が効いた押し入れ内でも外気温との差で結露しやすく、カビの温床となります。
  2. 湿度(60%以上) 結露や水滴が残る環境では、菌糸が一気に広がる臨界湿度が60%以上。梅雨期やゲリラ豪雨後の床下・壁内部では湿度80%を超えるケースもあります。平均湿度はここ数十年で約5~8ポイント上昇し、近年は68~71%を推移しています。こまめに窓を開け、除湿機を活用するなどの対策が必須です。
  3. 栄養源:日常にある有機物 カビはセルロース分解酵素を持ち、壁紙の接着剤、ホコリ、木材、紙、布などをエサにします。家具の合板や段ボールの表面は菌糸が入り込みやすく、放置すると内部まで被害が及び、消臭だけでは不十分です。食品残渣やペットの毛、花粉なども胞子の繁殖材料になるため、定期的な清掃が欠かせません。
  4. 通気不良:空気の滞留がもたらす結露とカビ 換気扇のない浴室や窓が開けにくいマンションの内廊下、家具の隙間など、風通しの悪い場所は湿度が急上昇します。部屋干しの洗濯物を放置すると、周囲の空気が飽和状態になり、壁面結露から黒カビが発生します。これらが重なると、わずか数日で菌糸が広がり、目に見える斑点や黒ずみになります。特にゴミ屋敷などは、住環境の劣悪さがカビにとって”楽園”のような状態です。

要注意スポット

  • 押し入れ・クローゼット内
  • 浴室タイル目地
  • 窓枠まわり・結露部
  • 家具の裏側や床下:掃除が行き届かず、長期間見過ごされる

こまめなチェックと清掃で、大きな差が出ます。

実際のケーススタディ:放置の危険性

東京都某戸建て(押し入れ内の黒カビ拡大)

状況:梅雨の1週間、窓を開けずに押し入れ内で除湿を怠った結果、湿度85%超。

被害:収納していた布団カバーや衣類に20cm角の黒カビが発生。家庭用漂白剤では完全に除去できず、衣類の買い替えを余儀なくされた。

対応:

  1. 専用薬剤による菌糸とMVOC(カビ臭物質)の一括分解除去
  2. シャダーン塗布による胞子バリア形成

→ 施工後、カビ消臭と再発防止が3年以上継続した。

また、オフィス環境でもカビ対策を行うことで、社内環境が改善され、生産性低下や体調不良の訴えが激減した事例もあります。

カビの健康被害は「見えないリスク」

カビは目に見える黒ずみや臭いとして気づかれることが多いですが、見えない場所に繁殖している胞子や毒素が空気中に漂い続けることで、知らない間に体を蝕む可能性があります。

そのため、「健康状態がすぐれないが原因がわからない」「市販薬でも治らないアレルギー症状が続いている」という場合は、住環境のカビを疑うことがとても重要です。

予防と対策の第一歩は「環境の改善」

表面的に拭くだけではなく、再発を防ぐための空間対策(=カビ対策)が必要です。

基本的な予防策

  • こまめな換気・清掃:家具裏や換気口も含めた週1回のチェックで、胞子の繁殖を未然に防止
  • 家具配置の工夫:壁から5cm程度離して空気循環を確保し、局所的な湿気溜まりを解消

これらを日々の習慣にすることで、カビ発生要因を一つずつ潰し、長期的にカビ臭を抑え、安全・快適な住環境を守れます。

まとめ:カビ臭を甘く見ないことが健康・安全の第一歩

  • カビ臭=単なる生活臭ではなく、空気中を漂うMVOCという化学的存在であり、健康リスクや再発性の高い悪臭の原因
  • 換気だけでは取れない、見えない場所でも臭いでわかる、においがあれば菌は生きている可能性大
  • 表面的なカビ除去や芳香剤による一時しのぎでは問題は解決しない

MVOCは「においのサイン」であり、「カビの存在を知らせる警告アラーム」とも言えます。 この段階での対策が、カビ被害拡大を食い止める鍵です。

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この記事の情報は専門業者による実地経験と最新の技術データに基づいています。カビの健康被害でお困りの際は、専門家にお気軽にご相談ください。

1. 温度(20~30℃) 多くのカビは、人間が快適と感じる室温帯(20~30℃)で最も活発に増殖します。特に25℃前後の日が続くと胞子の発芽率が飛躍的に上昇し、除去のタイミングを逃しやすくなります。冬季には、暖房が効いた押し入れ内でも外気温との差で結露しやすく、カビの温床となります。

2. 湿度(60%以上) 結露や水滴が残る環境では、菌糸が一気に広がる臨界湿度が60%以上。梅雨期やゲリラ豪雨後の床下・壁内部では湿度80%を超えるケースもあります。平均湿度はここ数十年で約5~8ポイント上昇し、近年は68~71%を推移しています。こまめに窓を開け、除湿機を活用するなどの対策が必須です。

3. 栄養源:日常にある有機物 カビはセルロース分解酵素を持ち、壁紙の接着剤、ホコリ、木材、紙、布などをエサにします。家具の合板や段ボールの表面は菌糸が入り込みやすく、放置すると内部まで被害が及び、消臭だけでは不十分です。食品残渣やペットの毛、花粉なども胞子の繁殖材料になるため、定期的な清掃が欠かせません。

4. 通気不良:空気の滞留がもたらす結露とカビ 換気扇のない浴室や窓が開けにくいマンションの内廊下、家具の隙間など、風通しの悪い場所は湿度が急上昇します。部屋干しの洗濯物を放置すると、周囲の空気が飽和状態になり、壁面結露から黒カビが発生します。これらが重なると、わずか数日で菌糸が広がり、目に見える斑点や黒ずみになります。特にゴミ屋敷などは、住環境の劣悪さがカビにとって”楽園”のような状態です。

要注意スポット

  • 押し入れ・クローゼット内
  • 浴室タイル目地
  • 窓枠まわり・結露部
  • 家具の裏側や床下:掃除が行き届かず、長期間見過ごされる

こまめなチェックと清掃で、大きな差が出ます。


実際のケーススタディ:放置の危険性

東京都某戸建て(押し入れ内の黒カビ拡大)

状況:梅雨の1週間、窓を開けずに押し入れ内で除湿を怠った結果、湿度85%超。

被害:収納していた布団カバーや衣類に20cm角の黒カビが発生。家庭用漂白剤では完全に除去できず、衣類の買い替えを余儀なくされた。

対応

  1. 専用薬剤による菌糸とMVOC(カビ臭物質)の一括分解除去
  2. シャダーン塗布による胞子バリア形成

→ 施工後、カビ消臭と再発防止が3年以上継続した。

また、オフィス環境でもカビ対策を行うことで、社内環境が改善され、生産性低下や体調不良の訴えが激減した事例もあります。


カビの健康被害は「見えないリスク」

カビは目に見える黒ずみや臭いとして気づかれることが多いですが、見えない場所に繁殖している胞子や毒素が空気中に漂い続けることで、知らない間に体を蝕む可能性があります。

そのため、「健康状態がすぐれないが原因がわからない」「市販薬でも治らないアレルギー症状が続いている」という場合は、住環境のカビを疑うことがとても重要です。

予防と対策の第一歩は「環境の改善」

表面的に拭くだけではなく、**再発を防ぐための空間対策(=カビ対策)**が必要です。

基本的な予防策

  • こまめな換気・清掃:家具裏や換気口も含めた週1回のチェックで、胞子の繁殖を未然に防止
  • 家具配置の工夫:壁から5cm程度離して空気循環を確保し、局所的な湿気溜まりを解消

これらを日々の習慣にすることで、カビ発生要因を一つずつ潰し、長期的にカビ臭を抑え、安全・快適な住環境を守れます。


まとめ:カビ臭を甘く見ないことが健康・安全の第一歩

  • カビ臭=単なる生活臭ではなく、空気中を漂うMVOCという化学的存在であり、健康リスクや再発性の高い悪臭の原因
  • 換気だけでは取れない、見えない場所でも臭いでわかる、においがあれば菌は生きている可能性大
  • 表面的なカビ除去や芳香剤による一時しのぎでは問題は解決しない

MVOCは「においのサイン」であり、「カビの存在を知らせる警告アラーム」とも言えます。 この段階での対策が、カビ被害拡大を食い止める鍵です。

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